卒業生の近況

NO.01:竹内悠さん(グローバルガバナンス,2007年3月卒業)

GG1期生の竹内と申します。現在はJAXAの基礎研究を行う部署で主に法務を担当しています。 私が現在職業としている宇宙開発は、一見社会科学とは無縁の世界に思われがちですが、実は国際関係と密接に関連しています。

2007年9月にJAXAが打ち上げた月周回衛星「かぐや」はその象徴的な存在です。 月探査の歴史は有名なアポロ計画に遡ります。 当時は冷戦構造を推進力として宇宙開発も劇的な進歩を遂げ、人間が月面を歩くまでになり、火星移住といった夢物語が現実味を持った時代でした。 しかし、冷戦構造の崩壊に伴い、各国の宇宙開発は勢いを失い、宇宙時代の礎石と位置づけられていた国際宇宙ステーション計画も縮小と延期を繰り返してきました。 しかし、近年、宇宙開発の世界は惑星探査を巡って新たな時代を迎えようとしています。 その背景にあるのは、新たなフロンティアを求める人類の情熱だけではなく、世界経済の活性化や各国の思惑などが交錯する複雑な国際政治が見え隠れしています。 アメリカや中国が月探査計画を準備する中で、「かぐや」はアポロ以来最大の月周回衛星として世界に先駆けてその先鞭を付けたと言って過言ではありません。

「かぐや」は現在、月軌道を周回しながら「地球の出」のハイビジョン映像やクレータの鮮明な画像など、どれも世界初の貴重なデータを送ってきています。 これは同時に日本の技術的ポテンシャルの高さを示すものでもあります。 我々は今、日本が宇宙分野で世界をリードする国になろうとしている歴史的瞬間に立ち会っているのかもしれません。 しかし、日本の宇宙予算はアメリカの20分の1、欧州の3分の1しかありません。 いかに優れた技術開発を行っても、少ないチャンスを的確に生かすしくみを作っていかなければ、瞬時に後塵を拝する立場になってしまうことは歴史が証明しています。 そうならないためのしくみを研究開発すること、すなわち政策を企画立案し、実行していくことが今日の宇宙開発にとって不可欠のものとなっています。 IPPで学んだこれらの能力が日々試されています。

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