研究の目的

我が国を含むアジア諸国における公共と民間との間のリスク・マネジメントの在り方に関して、理論と実証に基づく経済学の分析手法を適用します。具体的には東日本大震災で明らかになった大規模災害、原子力施設を含む社会資本に係る契約、(これらに起因する)財政危機における政府と民間のリスク分担・リスクコントロールを取り上げます。事故・瑕疵に伴う損害賠償、復旧・復興の財源確保の在り方が対象となります。
特にアジア新興国における私的領域(市場経済)と税財政、法制度の未発達な公的領域の不均衡に着目、成長と安定に資する公共のリスク・マネジメント、及び民間と公共の補完的関係について理論モデルの構築と現地調査等、実証研究を重ね、包括的復興基本法・有事立法を視野に政策提言(制度設計)に繋げていくものとします。
具体的には、低頻度・高損失なリスクを対象にアジアにおける民間と公共のリスク・マネジメントの在り方を課題とし、

  1. 原子力発電施設を含む大型社会資本の整備に係るリスク(事故・瑕疵)
  2. 地震・洪水等、大規模災害に係るリスク・シェア及びコントロール
  3. 政府の財政悪化の変化に係るリスク
を取り上げます。アジア諸国に共通する課題や分析手法を確立するともに、各国独自の課題、対処法についても検討します。
国際・公共政策大学院がこれまで培ってきた広範な実務家とのネットワークを積極的に活用し、現場の問題意識を汲み取った上での具体的な政策提言につなげることを目指します。