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 我が国は、人口減少・高齢化、巨額の公的債務、巨大地震や地球環境問題に起因する自然災害への対応、東アジアにおける国際関係の緊張など、社会経済の持続可能性を脅かす国内外の様々なリスクに直面しています。リスクに対して、私たち国民は日々の生活の中で、ネットワークを形成し、事前・事後の対応を行っています。しかし、持続可能性を脅かすほどのリスクに対しては、個人による対応には限界があり、国家による対応が期待されます。

 ところが、実際には、ネットワークや国家の活動が、社会経済のリスクを増大させることもあります(金融危機、財政危機、紛争など)。一国の 政治体制が民主的か否かは、国内外のネットワークの形成に影響を与え、リスクへの社会的対応に大きな影響を与えます。国家が民主的であることは一般に望ましいと考えられていますが、「シルバー民主主義」という言葉が示唆するように、多数派の意見が反映されることで、国家が破綻するリスクを抱えることもあります。
 また、民主主義的国家を目指すことが、特に複雑な民族構成や歴史を抱える国では、紛争のリスクを増大させる要因にもなることを、歴史は教えてくれます。時として、紛争のリスクを抑えるために、ある程度「言論の自由」を制約することが望ましいと考えられる場合も出てきます。
 社会経済のリスクを減らす役割が期待される国家が、むしろリスクを増大させる可能性があるのであれば、私たちはどのような国家そして社会を目指すべきなのでしょうか。我が国が、社会の持続可能性を脅かすような様々なリスクに直面している今、この問いに答えることは、極めて重要な意味を持つと考えられます。
 本研究プロジェクト(通称「RNDプロジェクト」)では、リスク、ネットワーク、デモクラシーの相互関係(以下の図を参照) を明らかにし、社会の持続可能性を脅かすリスクとして、「災害」「経済」「紛争」という3つの問題を取り上げ、持続可能性を確保するための政策・制度設計(メカニズム・デザイン)の望ましいあり方を明らかにしていきます。
 
 

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